食堂や彼の料理は、どれもしあわせになれる。

 心のこもった料理。しあわせを噛みしめ、生きていてよかったと思わせてくれる料理。

 そこでハッとした。

 わたし、なにを言っているの? 彼は、復讐の相手よ。

 それなのに、彼からしあわせを与えられている? 生きていてよかったと思わせてもらっている?

 どうして、どうしてそんなことを思うの? どうしてそんなふうに感じるの?

「マキ、どうした? もしかして、足りなかったか?」

 ハッとしてテーブルの向こうに視線を向けた。

 銀仮面の下の青色の瞳が、こちらを見ている。

 そのやさしいまでの眼差しに、なぜか心臓が震えた。