「マキ、拒まないでくれ。おれを受け入れるんだ」

 このバカ力野郎っ!

 わたしの全力拒否は、彼にとって極小虫が肌の上を這う程度にもならないらしい。

 彼の両腕が、万力のようにわたしを絞め上げる。

 というか、これって抱きしめるのではなくって抱きしめ殺そうとしているのではないの?

 いったい、わたしがなにをしたっていうのよ?

 こんな苦しみと恐怖を味あわせられるようなことをしたっていうの?

 まったく身に覚えがないわ。

「イタタタタ」

 ギュギュギュギューッと抱きしめられ、危うく意識が飛んでしまいそうになった。あまりの怖さに、勝手に瞼が閉じてしまう。