「パリッ」
「ポリッ」

 小気味いい音がきこえてくる。

「猫たちは、その餌が大好きなんだ。だから、街にくるとこうしてやるわけだ」

 ウオーレンは、尋ねてもいないのに空になった紙袋をフリフリのたまった。

「ニャンコたちって野良ですよね? 飼いもしないのに餌をやるなんて、猫にとっていいことではないですよ。自分で餌をとることを忘れてしまいます。ウオーレン様のやっていることは、ただの偽善です。人間の思い上がった行為のひとつにすぎません」

 街のいたるところで自由気ままに生きている猫たちは、ネズミなど人間にとっては迷惑な動物を獲ってくれる。とくにネズミは、世の中に深刻な病を伝染させる場合がある。

 猫たちは自分で餌をゲットして腹を満たし、人間は安全に暮らす。

 それが自然なのに、可愛いからとか可哀そうだからと考えなしに餌をやるのはどうなのかしら。

「そ、そうだな。可愛いから、つい。たしかにきみの言う通りだ」

 ウオーレンは、でかい図体を小さくしてモジモジしている。

 餌を食べて満足げな猫たちと見物人たちが、ウォーレンに注目している。