皇宮の敷地は、わたしが想像していたよりかなり広かった。

 ウオーレンが言った通り、だだっ広い草原が広がっている。

 この草原は、軍の調練に使ったり狩猟大会に使われたりすることがあるらしい。

 ここを、まずはストームに乗って駆けた。

 わたしなどよりずっとずっと賢くて気遣い抜群の彼は、わたしが転げ落ちないよう調整しながら駆けてくれた。
 そのような状態でも、彼は風だった。まさしく、風のように駆ける。「ブラック・ストーム」という名にふさわしい、と心から感動した。

 こんな爽快な気持ちになったのは、生まれて初めてだった。

 ウオーレンのことは別にして、ここにやって来てほんとうによかったとつくづく思った。

 ストームのあとは、ローズに乗った。

 彼女も速い。ストームほどではないにしても、とにかく速い。

 彼女と駆けるのも楽しかった。

 この日、わたしに愛馬が出来た。