「な、なんだ、マキ?」

 ウオーレンの声が弾みすぎている。

 ウゲエッ!

 正直、気持ちが悪い。

 彼みたいなデカブツで不愛想で不躾な男は、獣のうなり声みたいなのが似合っている気がする。

「ウオーレン様、朝食はどうなっていますか? お腹がすきました」
「ちょ、朝食? あ、ああ、そのことか。心配しなくていい。テラスに準備している。昼は、バスケットにサンドイッチを用意している。皇宮は広い。草原や丘もある。そこを駆けてみよう。それから、帝都に行って服を見ることにしよう」
「ええっ! 遠乗りしてから街でショッピングですか?」

 なんてことかしら。そんなこと、生まれて初めてよ。

 もしかして、こういうことがデートっていうのかしらね?

「ストーム。デートよ、デート。わたしたち、デートするのよ。ストーム。あなたのことを、ちょっとだけ意識してしまうかもしれないわ」
「ブルルルルン」
「ちょっ、マ、マキ? なぜ、ストームとなんだ?」

 わーい!

 人生初のデートよ、デート。