ホッとした瞬間、銀仮面の奥にある彼の青い瞳とわたしの黒い瞳がガッチリ合った。

 真夏の青空を思わせるきれいな青色に、おもわず魅入ってしまった。

「マキ?」

 また彼が両脇に手を添えてきた。そのことにすぐには気がつかないほど、青色の瞳に魅入られていた。

「ブルルルルルルルルルル」

 そのとき、ストームが彼とわたしの間に頭をぐいぐいと割り込ませてきた。

「ストーム、やめないか」
「ブルルルルルルルルル」
「あら、ごめんなさい。ストーム。あなたもそろそろ休む時間よね」

 ハッとし、すぐにウオーレンから離れてストームの頭をギュッと抱きしめた。

「ウオーレン様、ボーッとしていないでさっさとやってしまいましょう」

 押し黙っているウオーレンのお尻を叩くようにして、厩舎の用事をすませた。


 ドンガラガッシャーン!

 シンと静まり返っている厨房内、それどころかこの古びた宮殿のある森全体に響き渡るような騒音が起った。

「マキッ、大丈夫か? ケガはないか?」

 肉と野菜をローストをしているはずのウオーレンが、持ち場から飛んできた。

「なぜなの? ちょっと指先が触れただけで、勝手に落ちるなんてことある?」

 振り返った拍子に、台上に積み重ねている食器に指先がかすったのである。

 たったそれだけで、食器が石の床に勝手に落下したのだ。

 おかしいわよね。