「いや、それは違う。ストームは、生まれながらの軍馬だ。だから、それはもう気性が荒く……」
「ブルルルルルルッ」
「ウオーレン様、なんですって? ストームが鼻を鳴らすからきこえませんでした」
「ストームの暴れっぷりはすさまじいのだ。だから、彼はおれしか扱えんの……」
「ブルルルルルルッ」
「ウオーレン様、そんな小さな声で言ってもきこえませんってば。ねぇ、ストーム?」
「ブルルン」
「ほら、彼もそう言っています。ストーム、あなたに乗れたら素敵でしょうね。草原を駆けたら、風になれるわ」
「マキ、だったら乗せてやる。疾駆すれば、気持ちがいいぞ」
「イヤです」
「えっ、なんだって?」
「人に乗せてもらうだなんてぜったいにイヤです。とくにウオーレン様は、ぜったいに、ぜーったいにイヤです」

 拒否するにきまっているじゃない。

 だから、率直に言った。

 彼の立派な体がぐらついた。

「な、なぜだ?」
「なぜ? いちいち理由を言わないとわからないのですか?」
「あ、い、いや……」

 それでなくてもウオーレンは体格がいい。当然、体重もそこそこある。彼一人でもストームにかかる負担は大きい。いくらわたしが痩せ細っているとはいえ、あっ、痩せ細っているよりかはもう少しだけ肉がついているかもだけど、いくら痩せているとはいえわたしの体重まで加わったら、ストームがかわいそうすぎるわ。