「マキ、どうした? おれになにか用事か」

 銀仮面が、こちらを見おろしている。

 彼の金髪や作業着に藁がいっぱいついている。

「ウオーレン様、あなたではありません。うしろの黒い馬です。とても雄々しく、それでいて美しいですよね。素敵だわ」
「えっ? あ、ああ、馬、ね」

 彼は、小さく溜め息をついた。

「おれの馬だ」
「ええ、わかっています」

 彼の馬でない方が驚きだわ。

「なんていうんですか?」
「え? あぁたしか、遠い東の大陸の砂漠の国が原産地で……」
「そんな蘊蓄はどうでもいのです。名前ですよ、名前。彼、ですよね? 彼の名前です。それと、どいてもらえませんか? 彼をよく見たいのです」
「そ、それはすまない」

 ウオーレンは、慌ててどいた。