鳥肉のサンドイッチは、充分にお腹の虫を満足させてくれた。

 当然、わたし自身も。

 いったん部屋に戻り、顔を洗って歯を磨き、服を着替えた。

 シワシワよれよれの服は、出来るだけ伸ばしてクローゼットの中に吊るした。

 着替えたシャツにズボンも、かわらず古めかしい。

 だけど、これしかないから仕方がない。

 ここでは、侍女としてこれまでのような業務をするわけではなさそう。ということは、彼が奇特な趣味の持ち主でないかぎり、彼好みの制服はないでしょう。そうなれば、恰好も私服を着用しなければならない。

 だったら、なけなしの貯金から服の一枚や二枚、買うしかないかしらね。

 帝都は大きいし、古着屋の一軒や二軒あるに違いない。

 休みをとるか、適当なタイミングで帝都に行ってみよう。

 そんなことを考えながら、古い宮殿をまわってみた。

 厨房に大広間に執務室に図書室、寝室や客間など、まわってみた。