期待通り、葡萄酒で煮込まれた肉はフォークが触れただけでホロホロに崩れ、それを頬張ると口の中でとろけるほどやわらかい。サラダは、新鮮な野菜が使われている。ドレッシングは、柑橘系のサッパリしたもの。

 皇宮の使用人たちの食事は、どうしても野菜不足になりがちである。だから、こんなに新鮮な生野菜をがっつり食べることが出来るのはありがたい。
 ハード系のパンにはガーリックバターが添えられていて、それだけでもすごく美味しい。それを肉の煮込みといっしょに食べると、よりいっそう美味しくなる。
 チーズは、モッツアレラやマスカルポーネ、カマンベール、ゴルゴンゾーラがあるし、めったにお目にかかることの出来ないモンドールやヤギのチーズまである。
 果物は、柑橘類にナシにリンゴとこちらもいろいろな種類がある。

 ある程度食べるまでは、自分の中でウオーレンの存在じたいなかった。食べるのに必死で、彼のことを忘れてしまっていたというよりかは最初からなかったみたいになっていた。

 だけど、お腹が大分と落ち着いてきたら、やっと彼のことが気になり始めた。

 テーブルの向こうにいる彼をそっとうかがってみた。

 ガタイに合うだけの食べっぷりである。これほどの食べっぷりは、いっそ清々しい。