言葉のつぎは、笑いがこみあげてきた。こみあがってきたものを、押し戻したり飲み下したりなんて器用な真似は出来ない。当然、口から出すしかない。

 笑いというのは不思議なもので、一度口から出てしまうとなかなか止まらない。

 こんな症状って、もしかしてわたしだけなのかしら。少なくとも、わたしは一度笑いだすとなかなか止めることが出来ない

「エプロンですって? 真っ白くてフリフリのエプロンを? 「銀仮面の獣将」が? 負け知らずの冷徹将軍が? 不愛想で無遠慮で不躾な嫌われ皇子が? フリフリのエプロンをしているですって?」

 椅子に腰をおろすことも忘れ、上半身を折って笑ってしまった。

「ああ、そうだった。はずすのを忘れていた」

 彼は、慌ててエプロンをはずすときれいに畳んだ。

 その様子もまた可笑しい。

 なんてことかしら。

 そんな彼がちょっとだけ可愛いって思った自分に、自分で驚いてしまった。

「緊張はしていないようだな。ならば、さっさと食おう」

 やっとのことで椅子に腰かけると、彼は自分の席についた。

 それから、彼は白いフリフリエプロンをテーブル上のあいているところにそっと置いた。