「そうか。気を遣わせたようだな。もちろんだとも。葡萄の名産地域の酒やジュースだ。期待出来る。味わってみてくれ。宰相、あなたもだ」
「それはそれは。期待してしまいますな」
「では、どうぞ」

 宰相に手渡しながら、意味ありげに口角を上げてみせた。

 彼がわたしの意図を読んだかどうかはわからない。

 宰相に葡萄酒を渡した後、ウイリアムとトリスタンにも渡した。

 彼らは、すでに時間外勤務をしている。

 だから、葡萄酒の一杯飲んだところで咎められることはないでしょう。

 というわけで、わたしはまたウオーレンの横に座り、グラスを持ち上げた。