「ああ、わかっている。だが、予測も出来ないことが起こるのが世の常。念のため、解決するまで備えるべきだ。ほら、せっかくのお茶が冷めてしまう。いただこうじゃないか」

 ウォオーレンが話題をすりかえた。

 しめしめ。だけど、お茶はとっくの昔に冷めてしまっているわ。

 彼に言われる前に、ポットからカップにお茶を注ぎ始めた。

 わたしたちについての不愉快きわまりない話題は終わったはずなのに、ウイリアムとトリスタンは蒸し返して盛り上がっている。

「んんんんん?」

 ウオーレンが鼻を宙に向けた。銀仮面は、さすがに彼の高い鼻までは覆いきれていない。宙に向け、鼻をヒクヒクさせている彼を見、ウイリアムとトリスタンも同じように鼻をヒクヒクさせ始めた。

「このにおい……」

 ウオーレンは、急に立ち上がった。立ち上がると執務机の向こうから突進してきた。

「マキッ」

 ポットとカップを奪われてしまった。