「あの、香坂さん」
私は1メートル程離れた場所でタバコを吸う香坂に声をかけた。
「ん?」
「次は私が質問する番でしょ?」
私の言葉に彼は驚いたような表情を見せる。
「まだ続ける気?懲りない子だね、君は」
「私から言い出したことなんで。それにまだ聞きたいこともあるし」
「聞きたいことねぇ、まぁ暇だからいいけど。君の王子様は迎えに来る気配がないし」
香坂は地面に落としたタバコを足で踏みつけながら片方の口角だけを上げて笑った。
「あ、でもその前に水の音を止めてきてくれない?」
「水の音?」
「どこかから聞こえるでしょ?ピチョン、ピチョンって水滴が落ちるような音が。さっきからどんどん音が大きくなってて耳障りなの」
「そんなことを気にするような繊細な子には見えないけど?」
「香坂さんの目に私がどう映ってるかは知らないけど、気になるものは気になるの」
「面倒だなぁ」
「お願い。私は動けないんだから」
「……わかったよ」
香坂はガシガシと頭をかくと、音のする方へと歩いて行った。



