【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。



唯一、わかっているのはどこかで水が漏れているということだけ。

他にはなんの音も聞こえてこない。

この静けさからして、ここにいるのは私と香坂の2人だけだろう。

私の予想が当たっていたとしたら、一緒にいた冬馬くんはどこ?

「ねぇ、私と一緒にいた男の子はどうしたの?」


「……タメ口。まぁ、いいか。雑魚(ざこ)は荷物になるから置いてきた」

「置いてきたってあの場所に?冬馬くんに使ったのはスタンガン?」


「正解。だけど、威力は弱めてあるから少しの間立てなくなるだけ。ちゃんと意識はあったでしょ?」

「そういう問題じゃ……!」

「あのさ、役に立たない護衛よりも自分の心配をしたらどう?君、さっきまで眠ってたんだよ。その間に何かされたとか思わないの?」


「………………え?」



香坂の言葉に手足が冷たくなっていくのがわかる。

意識を失っていた間のことなんて、何も覚えていない。

私、何か……されたの?

体に傷はない。服装に乱れもないけれど、そんなの元に戻されていたらわからない。