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ピチョン、ピチョン──、
ピチョン、ピチョン──。
頭の中で何度も同じ音が繰り返し響く。
一定のリズムを刻むその音は、水滴が落ちる音によく似ていた。
蛇口の閉めが甘かったのかな。
水の出どころはキッキン?それとも洗面所?
水道代節約のためにも早く閉めに行かないと。そう思うのに体が重くて起き上がれない。
もしかして人生初の金縛り?
あれ?でも、金縛りって頭も痛むんだったっけ。わかんないや。
とりあえず蛇口の確認は志貴に頼もう。
「うぅん。し……き……蛇口ちゃんと閉まってるか……見てきて」
「あ?やっと起きたか」
誰…………?志貴の声じゃない。
「起きたんだったら、さっさと目を開けてくれるかな」
私に意識を取り戻させたのは、男の冷徹な声だった。
重いまぶたを開いて、まず最初に目に飛び込んできたのはコンクリートの地面と光沢のある革靴。
目の前にいる男の顔は暗くて確認ができないけれど、状況から察するに私は今、地面に横たわっているのだろう。



