冬馬くんを騙し続けるのは心が痛むけれど、これは櫻子さんを護るために必要な嘘。
だから、私は姫として、怜央の彼女として疑われるような行動を取ってはならない。
本当のことが知られたら、冬馬くんにもこの嘘を背負わせてしまうことになる。
正直者の彼にとってその役割は大きな負担になるだろう。
それだけは、どうしても避けたい。
そのためにまずは、この状況をどうにかしないと。
「そ、そういえば冬馬くんは彼女いるんだっけ!?」
「彼女ですか?今はいないです」
私の急な話題変換にも彼は気づいていないようだった。
「あ、そうなの?彼氏目線で話してたからてっきり付き合ってる人がいるのかと思った」
「闇狼に入ってすぐの頃に別れたんです。怜央さんたちといるのが楽しくて」
「そうなんだ。冬馬くんは闇狼が好きなんだね」
「はい!今は彼女ほしいとか思わないんですけど、怜央さんや幹部の皆さんを見ていたら羨ましいなとは思います。俺もいつかまた付き合う時が来たら、その狼を彼女に預けたいんですよね」
冬馬くんの視線の先には、私が怜央から渡された狼のキーホルダーが揺れていた。



