ギシッ



「⁉ 皇羽、さん…?」

「んー?なに」



私の上に、皇羽さんがいる。気配で分かる。あれ、私…


とんでもないことになってる⁉



「何の冗談かは知りませんが、そこを退いてください…ここは寝室です!」

「知ってるよ、だから来た。誘われたのかと思って」

「誰が!」



文句を言ってやろうと、グルンと向きを変える。そして…


秒で後悔した。


だって、目の前には皇羽さんの顔がある。もう、前髪が当たってしまう距離まで来てる。



「ど、どけて…皇羽さんっ」

「――例えば、俺が君にキスをしたとする」



「へ?」

「そうしたら君、どうする?」



「……顔を殴ります。グーで」

「…顔はやめてほしいな」



困ったように笑う皇羽さんに、戸惑う私。

だから、油断していた。