パチパチと。
燃え盛る炎に包まれる私のアパート。

季節は一月。

冬特有の乾いた空気と、
たまに吹き抜ける突風により…



「格安木造アパート、全焼とは…」



火の勢いってスゴイ…。


何がスゴイって、炎がどんどん大きくなっていって、あっという間にアパートを飲み込んでしまう所。



「お母さん、出て行ってて良かったね…」



誤解がないように言うと…

「ちょっと用事で留守中」とか、
「少し買い物に出ている」とかじゃなく。


お母さんは、永遠に出て行った。


幼い頃に両親が離婚して以来、母に育てられて来た私。だけども今朝、その母は書き置き一枚でアパートから姿を消していた。



『 冷蔵庫におにぎりあるからね』



そのおにぎりも、アパートが燃えた今は炭になってるわけだけど…。