麻衣ロード、そのイカレた軌跡❶/咆哮

その6
麻衣



そう考えた途端、とてつもない恐怖に全身が覆われた

もうここで殺される、私、”おんなじとこ”切り裂かれて…

それ想像すると、今、”息してる”自分が愛しくてしょうがない

だから恐い、恐いなんてもんじゃない

唇は震えを通り越して激しく痙攣してる

全身からの汗は雨漏りのように、ピタピタと音を立てて畳に滴り落ちてる

オシッコもちびりそうだ

冷静に考えれば、目の前の”男”は雲の上の存在だ

鼻たれ小娘が突っ張ったところで、所詮、城壁を超えない弱々しい一本の矢にすぎないよ

ここは、泣き崩れて恥も外聞もなく命乞いしたって、ごく自然だ

私の心の深いところで、”この声”を抑えきれないとこまで、もはや至っていた

もう、いいや、”目の前の人”に膝まついて詫び入れればいい

その間も相馬会長、私の目、とにかく見てる

微動だにしないで、食い入るように

私もとりあえず、視線そらすかって、意地はって”この人”の目をじっと見つめ続けた

でも、”この人”はおびえてブルブル震えてる私の胸のうちを、手に取るようにわかってるんだろうな

所詮、役者が違うよな

身の程知らずはまあ、自覚してる

牙を剥いたウサギも、ハナから敵わない相手にはしっぽを振って怯えてるってことか…

ザマないわ、クソッ