柊さんはキスマークを俺に見せつけながら言う。 「蚊に刺されちまって」 蚊じゃねーだろ。 「すげー危ない蚊」 何言ってんだか。 そして、わざと言ってるんだろう、この人。 だけど真っ赤な俺は、柊さんを直視出来ない。 「良かったですね」 急に敬語になって、その場を逃げるように去った。 そんな俺の頭の中には、山形先輩のあの声がまだ響いている。 今日はトレーニングどころじゃない。 とりあえず、メンタル回復が第一だ。