スローン侯爵家の葬儀に参列する為、俺とバージニアは馬車に揺られている。
こいつが髪型に拘ったせいで、出発時間が遅れた。
葬儀に行くのに、どうして凝った髪型にするのか。

それに、予定では馬車は1台で、レイとカラン、護衛と俺で行くはずだったのに。
カランとレイは別の馬車で行くことになった。
また、第1王女が参列することで女官やら護衛も増えて。
広がり、馬車の中で場所を取る妹のドレスにイライラする。


「席は俺の隣だけど、世話はカランに頼んでいる。
 何かあれば隣の俺じゃなくて、後に座ってる カランに言えよ」

「何かって、なあに!」

俺の言葉が気に入らないのか、喧嘩腰だな。



「飽きたから早く帰りたい、とか。
 お花を摘みに行きたい、とかだよ」

「そんな事言わないわ、失礼ね!」

失礼なのは、お前だよ。
誰もお前を見に来ていないのに、そのお洒落は何なんだ?
基本的に、化粧は駄目だろう。
お前は侍女を脅して、化粧をさせたのか。
一応色は黒だけど、そんなに胸元の空いてる喪服は無いだろ。
首に巻き付けた真珠は、何重にしてるんだ。
お前は王家の評判を確実に落としている。