俺、あんなやつに負けたのか。

確かにただならぬいい人そうオーラをまとってる野郎だけど、
ハイスペ男子の俺と比べたら
足元にもおよばないだろ。

しかも、蛇口叩くし。



さっき隣の席についた大学生くらいの女子三人が
俺を見てキャッキャ言ってる。

だよな。そうだよな。
俺かっこいいよな。


これ以上、北川さんが
彼の前で笑うのを見たくなくて、
俺はさっさと会計を済ませた。

最後、店を出る時に、男性客の声が聞こえてきた。

「店員さん、すみませーん。
トイレの手洗い場の水、
止まらないんですけど」

あいつ、壊してんじゃん。