次の日から俺は、 北川さんのように、 物事を深く考えてみようと心掛けた。 今まで気にもしなかった、 町ですれちがう人、 店の看板、植木、雲の動き。 よく見ると色々考えることがある。 この人はなんでこんなことをしてるのか、 この店はおいしそうだとか、 紅葉してるとか、 今日は風が強いとか。 「おはよう、北川さん」 「おはようございます」 俺は職場のエレベーターで、 声をかけた。