ちょうどケーキの飾りつけが終わった頃、
北川さんがやって来た。
ぎりぎり。
おばあさんが後一分遅かったら、
間に合わなかった。
あの親子に感謝しながら、
俺は玄関のドアを開く。
「加瀬さん!
ふろーえ…ばいなはてん!」
「え…」
北川さんを見て、俺は息をのんだ。
やべ…めちゃくちゃかわいい。
ってかきれー。
いつもかわいいんだけど、
今日は一段と。
ちゃんとおめかししてるというか、
髪もきれいにアレンジしてるし、
服もおしゃれなワンピース。
メイクもいつもよりちょっと濃いめで、
耳元はイヤリングをキラキラさせている。
ドキドキしてかたまってる俺の顔を
北川さんがのぞきこんだ。
「あ…あれ?ドイツ語でメリークリスマス、
間違ってました?
加瀬さん、母国語がドイツ語だから、
頑張って覚えてきたんですけど…」
「あ、いや…あってる…ごめん。
母国語は日本語もだけど、ありがとう」
「発音悪くてごめんなさい!」
「そうじゃなくて、北川さんがかわいすぎて、
フリーズしてた」
「へっ!!?」



