今から北海道へ行ったら、
帰ってこれるの何時だろう。
と、途方にくれてバカなことを考え始めた時、
ふと小さなケーキ屋が目に入った。
ケーキ屋なら持ってるよな?
俺は急いで車を降りて、
ケーキ屋に向かった。
「えっと…つまり生クリームを譲って欲しい
ということですね?」
「はい」
「少々お待ち下さいませ」
レジ係の店員が店の奥の方へ消えていくと、
俺は店内で流れるジングルベルの
フルートバージョンを聴きながら
目の前に並ぶ、
きれいなケーキを一つずつ眺めた。
このくらいなら俺でもできるな。
「お待たせいたしました!
申し訳ございませんが、
お客様だけ特別…ということはできかねまして…」
「あの、お代は払いますので、
そこを何とか」
「と、言われましても…
それに、うちも必要な分のみを仕入れておりまして、
基本的に余るということはないので…」
いや、そうだよな。
俺の方がおかしいのはわかってる。
けど、絶対生クリームをまとったおいしいケーキを
北川さんに食べさせたい!
「好きな女の子に、
ケーキを作りたいんです!」
「あー……」



