「加瀬さん!」 後ろから呼ぶ声が聞こえてふりかえる。 「明日、加瀬さんのお料理が楽しみなので、 このミカンを最後に、今晩から絶食します!」 いつもの笑顔だ。 かわいい。 ドキドキする。 「いや、ふつうに食べて」 明日、彼女を独り占めできるんだ。 そして、浮かれた俺は、 また自販機でコーヒーと間違えて ミックスジュースを 押してしまったのだった。 前飲んだ時より、さらに甘くなった気がする。