ハイスぺな俺は、いつもみんなから頼られる。
特に仕事で。
頼られるのは嬉しいけど、
俺も人間なんで、限界がある。

「加瀬君、今日の夜、空いてる?」
「はい」

空いてるというか空けてる。
クリスマスの準備をしたいから。

けど、社長から直々にこんなこと聞かれて
嫌な顔はできない。

「あぁ、よかった!
いやぁ、実は…」

俺は今晩、社長と取引先のドイツ本社から来る社長と
食事をすることになった。
通訳要員だ。

あー、夜絶対遅くなるやつ。

「加瀬さん、大変です!
昨日必着の荷物が届いてないって
客先から連絡がありました!
本日絶対必要なものだそうです!」
「加瀬さん!その荷物の件ですが、
雪で運送便のトラックが止まってるそうです!」

それは、ハイスぺでどうこうできる
問題じゃないよ?
二人して、
加瀬さんならなんとかしてくれるよね?
みたいな目で見られても、
俺は雪を解かす能力はないし。

けど、真摯に対応はする。

「わかった。俺、話つけてみる」