「……」
「ん?」
え?なにその反応…
うつむいたまま、返事なし。
「ごめん、嫌?」
「あ…嫌じゃなくて…
ちょっとドキドキして…」
もしかして、手を繋いだから?
かわいい。
「でも、加瀬さんの手、
あったかいです…
カイロみたい…」
「よかった」
北川さんの手は確かに冷たかった。
でも俺の火照った手には、
ちょっとひんやりして気持ちよかった。
「人って、どうして寒いとき、
暖かい物に触れると
ほっとするんですかね?」
「んー…なんでだろう…
でも、今、北川さんは
ほっとしたってことだよな?」
北川さんは俺を見上げて
にこっと笑った。
「はい!すごく」
俺もつられて笑顔になった。
「あ!加瀬さんが笑った!」
「笑うよ」
「いつもクールで、笑うのもくすっと
するくらいなのに、
今すごく笑顔!」
「俺もすごく笑顔になるよ。
人間だからね」
俺は家に着くまで、
北川さんの小さな手を握っていた。
もう、クリスマスプレゼントは決めた。
明日買いに行こう。