[遡る思い出] ん……。 「春木さん、目が覚めましたか?」 女の人が私の顔を見てにこやかに笑う。たぶん、看護師さんだ。 「……春木?」 あれ?私。 「大丈夫?……春木。」 悲しそうに心配そうな顔をした君がいた。君の口から出た言葉は、何かがさっきまでと違うような気がした。でもわからない。気のせいなのかも。私は、 「八王子君、大丈夫だよ。」 「……!そっか。よかった。」 秘密を打ち明ける勇気がない。