「いつから、2人はーー。」



俺は何も知らなかった。
緋彩のことは中学の卒業式以来、モデル事務所に行ってからの緋彩のことは、雑誌でしか知らなかった。

何しろ、ものの半年でファッション雑誌の表紙になるぐらいだから……
多忙すぎてすれ違い。
同じ学校だったのに、入学してすぐほとんどの期間、彼女は学業より仕事に尽くした……。


有名になるーー



そう話して、彼女は"遠い人"になってしまった。




届かぬ、遠い人ーー。


「1年前からずっと…」


1年間何も知らずに隣にいた俺は、ずっと緋彩が好きだったのに。

緋彩には、、


好きな人には


好きな人がいたーー。

こんなことってあんまりだ。

「それでね、最近多忙でさ。
今の学校、事務所から遠くてさ、ヒカルにも話したんだけど……引っ越すことにしたの」


なんだって??

ガタンーーー!!
突然立ち上がった俺に、緋彩はびっくりした様に目をパチクリとした。


「ひな?」




「なんだよ、それ。
なんでそんな大切なことを、2番目に聞かなきゃいけない訳?
幼なじみの俺より、なんでーー!!」




ずっと近くにいて
誰よりも1番だった俺。
いつからーー2番目になってしまったんだ、と悔しくて悔しくて、そして



目の前にいる海藤に、怒りの睨みを効かせた。
横から現れて、大切な幼なじみを奪われてしまった。