「海藤くんは、緋彩のこと真剣に好きですか?」


海藤ヒカル。

見た目、プレイボーイの彼はーー偏見だけど遊んでそう。

何しろ、人気モデルだよ?
緋彩1人な訳無いよなーー、本当に偏見だけど。




「真剣だよ。
緋彩とは、雑誌の撮影で知り合ったんだけど。緋彩の将来も、考えて付き合ってるから。
チャラく見えるかもだけど、緋彩に真剣に向き合ってるから」




俺の目を見て話す海藤の瞳は、嘘偽りなく、歪んでもいなかった。

偏見でものを見る俺よか、彼の方がよっぽどまともな青年だった。

悔しいーー。
腕に抱く雑誌に少し力を入れたらーー。



茶色の紙袋が、クシャ、と音を出した。

こんなに真剣に見つめられたら、何も言えない。

雑誌の中の彼は今目の前にいて、俺に許しを乞う。

俺は、緋彩の父親になった気分にさえなる。

「ひなくん、黙っててごめんね。
びっくりしたよね」



ーーー。
びっくりなんてものじゃないよ。

心臓止まるかと思ったーー。