「いやいや、幼なじみの雨空 ひなくんだよ」


ーー!!
緋彩はわざわざフルネームで教えるからーー目を見開いて海藤は、びっくりしている表情をした。



「ひな?」



ほら、笑ってる。
女の子みたいな、名前の俺。

「ヒカル、ドリンク来たよ。
他のお客さんの邪魔になるし、席行こうよ。
良かったら買い物終えたら、ひなもおいでよ」



緋彩の気遣いが今は痛い。


構わないで欲しかったーー。


「買い物?あ、それ俺が表紙の奴じゃん。
買ってくれるの?」


急にキラキラした瞳をし始めた海藤。

カフェと本屋は繋がっていてーー俺は、海藤が載ってる雑誌を返すことも出来ないまま、カフェまで来てしまった。


ありえないものを見てしまったからーー。


「あー、買ってくるわ」



急いで逃げるようにレジに向かう最中。


「あ、ひな!!
ありがとうっ」



満面の笑みの緋彩に、何故か感謝された。


だけど、直ぐに分かった。
俺の腕の中の雑誌。
表紙は、海藤ヒカルーー。



自分の事のように嬉しく笑う緋彩を見て思った。






緋彩と海藤ヒカルは






恋人同士なのだと……………。