「戸川さん、貴方は絶対果穂ちゃんには勝てないね。
君はどっちかと言うと、ただの強がりで本当は弱くて脆い人間だ。

果穂ちゃんはね、普段ふんわりしてるけど、ああ見えて、芯はしっかりぶれない強い子なんだ。
意地悪されても泣かされても、きっと負けない。
果穂ちゃんは何て反論してきた?」

「貴方と同じ意見を持った人は、多分たくさんいる筈だって…だから、いろいろなご批判やご意見は甘んじて受けるつもりだと……
あと、私を必要としてくれる限り、側にいたいって……。」

「へぇー、果穂さんカッコいいっすね!
俺と同い年なのに、意外としっかりしてるんだ。」
新田が妙に感心して嬉しそうな顔をする。

「さすが社長夫人だ。
本人に自覚は無いんだろうけど、安心したよ。まぁ、愛されてる女は強くなれるって事だろうね。」
雅也もそう言う。

「社長聞いたら喜ぶんじゃないですか?」

「戸川さん、一つだけ知っておいて。
俺達、上に立つ者がパートナーに選ぶ条件は、たった一つ、癒しなんだ。

一緒に戦う戦友でも、意見を述べて尻を叩いてくれる姉御肌でも無い。

疲れた時に何も言わずに休ませてくれる、
そんな癒しなんだ。
君も玉の輿に乗りたいなら、そこを果穂ちゃんから学んだ方がいいんじゃないか?」

「私が?あの子から学べですって⁉︎」

「君の欠点はそこだな。
自分を上にみ過ぎて、他の考えを下にみている。そこからは何も生まれないし、学ぶ気持ちも無いから成長も出来ない。
今のままでは、君はそこ止まりだ。」

「私は7年間、ここでいろいろ学んで来たんです。誰にも負けない知識だって経験だって手に入れた。どこが、彼女に劣ってるって言うんですか?」
ケンカ腰になって、副社長に食ってかかる。