「なんであの子なんでしょうか?
社長の地位なら令嬢や、もっとお似合いの地位の方が、今までだっていた筈ですよね⁉︎」戸川も、ちょっとビールを飲んだ為か、
口が軽くなる。

「本当にそう思う?
それなら君は翔の事を何も分かってないね。
どこかの令嬢なら、今までも嫌と言う程見合い話しがあったんだ。
翔は、そのどれも興味を示さず蹴散らしてた。」

だって、今まで社長と噂になった人は、
モデルや女社長だったり、煌びやかな世界で輝いている様な女性ばかりだった。

なのにあんな、世の中を何も知らない様な小娘のどこに惹かれたのか…
なんで誑かされたのかと思っていた。

「俺もちょっと前まで翔は独身主義者だと思ってたけどね。
いつもどっか冷めててさ、誰にも心を通わせない、近付かせないって感じだったのに、
出会って半年で入籍するなんて思ってもみなかったよ。」