結婚式を2週間前に控えたとある日曜日。

果穂は翔に連れられて、
pertica cafe 本社の開発室にやって来た。

まるでレストランの厨房の様な調理室にエプロンをつけた果穂は、緊張の面持ちで翔の横に立っている。

「何でそんなに緊張しているんだ?
俺の奥さんだって顔でもっと堂々としてればいいだろ?」
と翔がこっそり囁いて笑ってくるが、 
この状態で、堂々となんてしていられない。

果穂の向かいには開発部部長の向田優斗と、入社3年目の女子社員、田中美咲が先程から、
そんな仲睦まじい社長夫妻をニコニコと見つめている。

「あの、奥様は何の果物が一番好きなんですか?」
キラキラの笑顔を向けられて、果穂は戸惑い翔を見上げる。

「じゃあ、俺らは向こうに居るから、
2人でよく相談して決めてくれたら良い。」
そう言って、果穂の頭を優しく撫でて、
優斗と共にガラス張りで仕切られた事務所の方へ行ってしまう。