15:00 蓮司のアトリエ

———ピンポーンッ

蓮司が応答する。
「はい…え」

———ガチャ…

「どうも。アポイントもなくすみません。」
ドアの外に立っていたのは明石だった。
「いえ…」
蓮司と明石は長机に向かい合って座った。
「わかっていらっしゃるかとは思いますが、本日の件で伺いました。」
「…はい」
「何があったのかは川井から聞きました。」
「………」
「一澤さんが被害者の立場だというのも理解します。」
「……いえ」
「ですが、今回の行動が引き起こしかけた事について、こちらは重く受け止めていますし、一澤さんも事の重大性を理解してください。」
「はい…」
「メディアへの露出が増えるということは、それだけ注目されているわけだから、今後も同じようなことが起こり()るでしょう。」
「はい…」
「その時に、川井がいなくても自制心を保てるようにしていただかないと契約の継続が難しいです。問題を起こして契約解消になったとして、あなたは違約金を払えばそれで終わりかもしれませんが、うちのようなメーカーは金銭的にも社名のイメージ的にもダメージを受けます。最悪潰れることもあり得る。そういうことを起こしかけたんですよ。うちだけじゃなく、他の取引先に対しても。」
「はい。本当にすみませんでした。」

「まぁ社長的な立場で話すとこんな感じだけど…」
「え」