菫には、出張中に決めたことがあった。
「一澤さん。」
「なに?真面目な顔して。」
「私…社長に気持ちを伝えようと思います。」
「え…なんで急に。」
「鹿児島で一人だったのでいろいろ考えました。あの…泣いちゃった日、気持ちに一区切りついたので、もうすっきりしたいな…って。」
「別に告らないで気持ちを忘れてもいいと思うけど?」
蓮司は少し心配そうに言った。
「それも考えたんですけど…5年間くらい好きだったので、曖昧にして終わりたくないなって思って決めました。」
「ふーん。」
「もう胃がキュ…ってなってます…」
菫はお腹に手をあてた。
「いつ言うか決めてんの?」
蓮司が聞いた。
「平日は…次の日気まずくなっちゃうと嫌なので、来週の金曜に言おうと思います。それでその日…」
「ん?」
「ここに来てもいいですか?」
「………」
「あ、えっと…きっと落ち込んじゃうので、話を聞いてほしいなって…」
菫が言った。
「いいよ。いつでも来ていいって言ったでしょ。」
蓮司が優しい声で言った。