「今日は先日お送りした色校正(いろこうせい)の確認に伺いました。」
菫がいつものように蓮司のアトリエを訪ねた。
「一通り見て、気になるところは付箋貼っといた。」
いつものテーブル兼作業台には、大きな紙が広げられている。

色校正というのは、印刷の色や入稿データの間違いがないかなどをチェックする紙のことで、本番の印刷と同じように大きな紙に同じものがいくつも並んで印刷されている。
ここで希望の色が出ているかどうかなどを確認し、印刷会社に伝えて修正する。

「相間さんもメールで言ってましたけど、ピンクがもう少し鮮やかに出るといいですね。」
菫が言った。
「ノートとファイルとメモはいい感じだけど、付箋とレターセットが少し色が沈んでるかな。でも全体的には結構きれいだけどね。」
蓮司が言った。
「紙の種類かなぁ…相間さんにも確認して、場合によっては弊社でデータの色味を調整させていただきますね。」
「よろしく。相間さんとスミレちゃんの責了(せきりょう)でいいから。」
菫はパソコンにメモした。
「あとこれ、色校正の印刷で作ったサンプルです。」
菫が商品のサンプルを蓮司に渡した。
「色校正なので修正前の色味になっちゃいますけど、パッケージとか…商品の雰囲気はわかると思うのでお渡ししますね。」