全国区での恋愛小説なら、どこが舞台でも構わないが、有栖川出版においては、あくまで舞台は地元という、地域密着型だ。

投稿する人の年齢制限はない為、老若男女…否、男性からの投稿は殆どないが、中学生から高齢者まで、様々な女性が応募してくる。

今はもう、SNSも盛んなので、地元の情報誌などさほど需要がないと思われるかもしれないが、【Alice】は、昔からある雑誌なので、今でも講読する人は多い。

それに、県民の大半が土着民ということもあり、全国区のテレビで登場するお店などは、アンケートによると、県民は無関心で、むしろ県内でいい店やデートスポットがないかと思っているとのこと。

「公にはしてないけど、暴走族が登場する小説は、全部ボツだからね」

先輩に聞かされた。

自称・教育県で、暴走族も少ないことが、この県の誇りでもあるとか。

地域密着型だからと、全国区とは違った面白い小説が投稿されるかというと、そうでもない。