同じく、恋愛小説担当の先輩たちは、

「多忙で干からびた生活になりがちだから、毎日恋愛小説読んでると刺激的ね」

そう言って楽しんでいる様子だが…有り体にいうと、私はラブストーリーが大嫌いだ。

悲恋ならまだいい。

しかし、ヒロインがやたら溺愛されるものは、かなり苦手である。

そう思うのは、恐らく私の生い立ちも関係していると思う。


私がイタリア系ハーフなのは、かつて母・真紀子が、東京で暮らしていた頃に、イタリア人の父・フランチェスコと恋に落ちたせい。

話によると、母は「これでもか!」というほど父に溺愛されており、まさか、他に女性が沢山居るとは気付きもしなかったという。

奥手だった母は、最初こそ警戒していたが、父の情熱と、お姫様扱いに絆され、結果的に私を身籠ってしまったとか。