「市原さんのこと、教えて」
あたしの目を見て、お姉さんはコホンと咳払いしてから、
「あなた、市原くんのことが好きなのよ」
と、言った。
「は?」
「いい?市原くんのことが好きで、でも、完全に片想いでね、かなりつらい日々が待っているからね」
お姉さんの言葉に、あたしは「待って、まって!」と言って、首を振る。
「だって、高田くんは?あたし、高田くんが好きだよ!?」
「高田くんは……、うん、そうだったけどさ。さっきも言ったけれど、あなた、高田くんのことはそんなに思い出さなくなるから」
「えぇっ!?」
お姉さんは「ごめんね、でもそうなるから」と言って、
「市原くんのこと、好きで好きで。でもね、実らないの」
と、眉毛を少し下げた。
「それで……、今の今までずーーーっと片想いしてんの!?」
「あー、うん。そうね、間違いではないかな」
「嘘でしょう!?つらすぎる!!」



