ひとりぼっちのさくらんぼ


お姉さんはテーブルの上のペンを手に取り、
【事故(平成)→現在(令和にタイムスリップ)→事故から目覚める(平成)】
と、紙に書いた。



「こういうことじゃない?」

「じゃあ、あたし……、平成の時代ではまだ事故から目覚めていないってこと?昏睡状態ってやつ?」

「わかんないけど、そうかもしれない」



あたしはお姉さんの腕を掴んだ。



「何日眠ってたの?何日経てば帰ることが出来る?」

「私にはわからないよ」

「なんで?お姉さん、経験したんでしょ?タイムスリップ」



イライラした声になってしまった。



お姉さんは申し訳なさそうに、
「ちっとも覚えてないよ。タイムスリップのことだって忘れていたんだもん」
と言ってから、
「ただ、事故に遭ったことはなんとなく覚えているよ。眠っていたのも、ニ、三日だったと思う」
と、静かに言った。



「じゃあ、ニ、三日経てば帰れる?」