ひとりぼっちのさくらんぼ


「……っ、本当に?」

「嘘つかないよ。良かったよね、嬉しいよね」



思わず泣きそうになって、あたしは無言で何度もうなずいた。



お姉さんは、
「夢が叶うって知っていても、努力してよー。ちゃんとあなたの力で、夢を叶えるんだからね」
と、いたずらっ子みたいに笑った。



スマートフォンをテーブルに一旦置いたお姉さんは、キャラメルラテをひと口飲んだ。



あたしは。

目の前のお姉さんが。

急に輝いた大人に見えてきた。



(ゲンキンだなぁ、我ながら)



少し呆れつつ、でも、素直な気持ち。



あたし。

大人になったら。

こんなふうになれるんだ?



良さが全くわからない洋服のセンスだけれど。

意味不明な眉毛の太さだけれど。

髪の毛の色も、絶対今のあたしのほうが可愛いけれど。

それに、若干体重も増えていそうだけれど。



……あたし。

こんなふうになれるんだ?



自立していて。

優しくて。

夢を叶えて。



(素敵な未来じゃん)



そんなふうに、あたしがひとりで感動していたら。