「あ、そっか。電話してるふうに装うんだ?」
「そう」とうなずいてから、
「そのほうが自然かなって」
と笑ったお姉さんに、あたしは親指を立てて見せた。
さっきの店員がキャラメルラテのホイップ乗せを持って、もう一度あたし達の所までやって来た。
やっぱりあたしのことは見えていない様子で、お姉さんに向かって、
「お待たせ致しました、ごゆっくりどうぞー」
と言って、また階段をおりて行った。
キャラメルラテの上に乗ってるホイップをスプーンですくって食べて、お姉さんは美味しそうに目を細めた。
「ねぇ、あたしさ、お姉さんのことをもう少し知ってみたいんだけど」
「私のこと?」
「うん。今のところ、年齢と名前しか知らないんだもん」
お姉さんは「そうだよねー」と言いつつ、
「あなたに話して大丈夫なのかな?」
と、ひとりごちた。
「?どういうこと?」
「いやー、あんまり未来のことを知ってしまうとさ、あなた、これから楽しくないじゃない?」



