ひとりぼっちのさくらんぼ


「ごめんね、でも、私もそう思う」

「やっぱりあたし、死んでない?」

「それは無い……、と思う。だって、私は生きているもの」



(その、『と思う』が、怖いんだけど)



今までなら、死んでいないって断言してくれていたのに。



「それに私にはあなたが見えるんだよ?触れることだって出来る。J Kちゃんが幽霊なら、あたしにだって見えないし、ましてや触れるなんて出来ないと思う」

「わかんないよ。だって、本人だからさー」

「……頭ん中、ややこしくなってきたよ、マジで」



二階にはまだ、誰もお客さんがいない。

あたし達だけ。



「ねぇ、お姉さん」

「何?」

「店員さん、呼んでみて。それであたしが見えるのか試そうよ」

「え」



「そしたらさ、ハッキリするじゃん。まずはお姉さん以外の人が、あのおじいさんみたいに、あたしのことが見えないのかどうか……」



思い返せば、お姉さんの部屋に来た宅配のお兄さんも。

あたしを無視したんじゃなくて。

見えていなかったのかもしれない。