「……J Kちゃんが、見えていないんだ?」
お姉さんの言葉が、頭の中でぐわんぐわん回るみたいだった。
お姉さんとあたしは。
とりあえず落ち着くために。
マンションの近所まで帰って来て。
お姉さんがよく行くらしい、カフェに入った。
カフェの店内は。
少し暗い照明の、落ち着いた空間で。
コーヒーの良い香りに包まれている。
「二階に行こう、ソファー席だよ」
お姉さんについて行って、あたしは階段をあがる。
窓際の、一人掛けソファーがテーブルを挟んで向かい合って置いてある席に座る。
「ね、どういうことか、あなたにはわかる?」
お姉さんは席に着くなり、真剣な声で聞いてきた。
「わかんないよ。でも、完全に無視されたのはさ……」
「何?」
「……あのおじいさん、あたしのことが見えてないってことで合ってる気がするんだよね」
自分で言っていて、ゾッとした。



