ひとりぼっちのさくらんぼ


「可愛い名前ですね、ポメっていうんだ?」
と、お姉さんは返事をしつつ、あたしを心配そうに見た。



「ポメ、あたしにしか吠えてないよ」



あたしがお姉さんに話しかけて、
「うん、なんでだろ?」
と、お姉さんが返事をくれたら。



「ん?何がですか?」
と、おじいさんが不思議そうな顔をした。



(なんか、違和感あるなぁ)



おじいさんはずっと笑顔なのに。

なんか、あたしのことを完全に無視してない?



(逆に怖いんだけど)



ポメはずっと吠え続けている。

見兼ねたおじいさんが、
「これ、ポメ!ポメちゃん!吠えないよ!」
と言って、ポメの体を撫でた。



「そっちには何もないだろう!?」



え。

え?



どういうこと?



「時々何もない所に向かって吠えるんですよ。ポメには何かがみえているのかなぁ?」



そう言って、おじいさんはお姉さんに頭を下げて去って行った。



「……今の人」

「うん。お姉さんもやっぱり、そう思う?」