ひとりぼっちのさくらんぼ


妄想をしてはノートに書いて。

それを読んで、あたしはひとり満足感に浸る。



ふと、ノートから顔をあげると。

あたしはやっぱりひとりぼっちで。

教室の中。

みんなの笑い声を聞きながら。

それに加われない寂しさに襲われる。



いっそ、ノートの中で生きていけたなら良かったのに。

あたしの妄想が、現実だったら。

ひとりぼっちなんかじゃなかったのに。



そう思えば思うほど。

あたしは膨らんだ妄想を。

ノートに書き連ねていった。







いつもの放課後。

校門を出て、駅に向かっている途中。

高田くんの背中を見つけた。



声をかけようとして。

あたしは、やめた。



高田くんの様子がなんだか、いつもと違ったから。



(何か、そわそわしてる?)



人の目を気にするみたいに歩いている。

キョロキョロしながら高田くんは、駅前の公園に入って行った。