数日が経って。

高田くんも坂崎さんに何か言われたのかな?

高田くんが話しかけてこなくなった。

休み時間がまた、暇な時間に変わる。






放課後。

図書室に行った。

『孤独な月をあなたにあげる』を返却するために。



図書カウンターにいたのは、細い三つ編みの髪型が印象的な女子だった。



カウンターに近寄る。

てっきりこの人もあたしを見てビクッと怖がるか、嫌なものでも見る目をするかと思っていたけれど。

女子はそのどちらの反応も見せない。



「返却ですか?」



女子はまっすぐにあたしを見て、尋ねた。



「あ、はい」



なぜかこっちが気後れしてしまう。



「……あ、この本……」



本を渡すと、女子はあたしと本を、ほんの一瞬の動作だけど、交互に見つめた。



「あの、何か問題がありましたか?汚したりはしていないと思うんですけれど」



不安になって、丁寧に話しかけた。

あたしも本を見つめる。